Fallout - New Vegasのレビュー
イノン・ズールの手による音楽が、荒涼としたオーケストラと、インク・スポッツからクルーナーまで、ラジオから流れる1940〜50年代の郷愁のヒット曲を結び合わせる。レトロな甘さと荒廃した大地のあいだのこの対比が、終末後の空気を昇華させる。皮肉で心打つ唯一無二のこの音の個性が、末永く刻印する。
命取りとなる配達ののち見殺しにされた運び屋が、いくつもの勢力が未来を奪い合う核戦争後の荒野を行く。選択の自由で名高いこの物語は、明快な善人も悪人もないまま、プレイヤーに真の政治的思索を突きつける。成熟し分岐するこの筆致が、本作を西洋RPGの頂へと押し上げた。
陣営を選び、武器を改造し、各台詞を吟味しながらモハビの荒野を踏破する。各手がかりが新たな難題を開く冒険がここにある。キャラクターの強化と廃墟の探索が好奇心に報いる。バグと古いエンジンは苛立たせるが、選択の自由と世界の濃密さが、各セッションを中断しがたくする。
すべては選択から始まる。モハーヴェのどの勢力に肩入れするかで結末も道中の交差する任務も丸ごと描き換わる。評判システム、分岐する会話、リアルなハードコアモードが、結末の差ゆえに幾度もの周回を誘う。この濃密で重い物語の自由さが、本機屈指の周回される洋RPGにした。