The House in Fata Morganaのレビュー
音楽がこれほど物語を背負うビジュアルノベルは稀だ。幻想的なゴシック・ヴォーカル、哀愁の漂うピアノ、スペイン情緒のフォークが、喪失と贖罪の空気を織り上げ、明かされる真実とともに高まっていく。叙情的な合唱は転機ごとに胸を締めつける。ドラマの感情と切り離せない楽曲群だ。
幾世紀をさまよう館、その石の一つひとつが壊れた愛と日常の残酷さを記憶している。美しい筆致と心を奪う音楽に導かれ、やがて呼応しあう運命が編まれていく。優しさと恐怖が隣りあい、終幕の感情は一切のごまかしなく胸を打つビジュアルノベルだ。