428 - Fuusa Sareta Shibuya deのレビュー
美術は、混み合う交差点をその鼓動する心臓にする。ゲームは、東京で最も名高い横断歩道へ絶えず立ち返る。互いを見ぬまま行き交う無名の輪郭の潮。その無関心な群衆のなかで、五人の見知らぬ者の運命がついに触れ合う。街は背景ではなく、撮られた群れであり、誰もが自らの肩をかすめる劇を知らぬ、人の塊の肖像だ。
音の装いは、街の報道から来る。テレビの速報、緊急の告知、ラジオの短信、街のうわさが、進行中の劇の報せを流し、登場人物はその重みを測らぬまま、通りすがりに拾う。音楽は、この周囲の情報でできている。自らの危機を切れ切れに知る大都市のざわめきだ。楽曲ではなく、ゲームは、報道が至る所からあふれる一日の音の景色を織る。
渋谷でのたった一日のうちに、ある誘拐事件をめぐって五つの運命が交差し、ある人物の些細な選択が、他の者たちの運命を根底から揺るがしていく。時計細工のように精緻なこの群像劇は、スリラー、笑い、そして情感を稀なる技巧で綯い交ぜにする。ゲーム的物語の規範として、その筆致は今もジャンルの手本であり続ける。
渋谷の一日を舞台に五人の運命が交差し、ある選択が別の物語へ波及する群像劇。膨大な分岐とマルチエンディング、ボーナス章がひと回りでは終わらない厚みを生む。全ての糸をほどこうと何度も戻りたくなる、ジャンルの金字塔だ。