BioShock 2のレビュー
水と狂気に蝕まれたアールデコの海底都市──ラプチャーは、色褪せたネオンと落ちぶれた栄華のあいだで、豪奢な荒廃を広げてみせる。様式の一貫性と息詰まる空気が、忘れがたい世界をつくる。濃密で霊感に満ちたこのアートディレクションは、作家性ある作品の絶対的規範と称される。
ゲイリー・シャイマンは海底からラプチャーを書き直す。デルタとエレノアの絆を悼むような独奏ヴァイオリン、水圧にくぐもりガラス越しに響く弦、そして蓄音機は崩壊前の流行歌を回し続ける。液体のような憂愁が沈没都市を包む。
続編は前作を裏返す。今度は怪物ビッグダディとして、奪われた娘を取り戻す旅に出るのだ。ライアンの客観主義にソフィア・ラムの集団主義が対置され、思想が子供に何をするかが問われる。結末はリトルシスターへの行い全てを覚えている。
プラズミドと銃を両手で同時に操ることで戦闘の流れは格段になめらかになり、ラプチャーの方程式はいっそう洗練される。ビッグダディを演じれば、一歩にも一発にも確かな重みが宿る。物語面では原作ほどの衝撃こそないものの、本作はより鋭いゲームプレイと息詰まる空気を保ち、その完成度は今なお侮れない。