Celesteのレビュー
リーナ・レインはマデリンの登攀を、きらめくシンセと脆いピアノに翻訳する。山が抗うにつれ音は張りつめる。音楽は努力とともに呼吸し、転落で崩れ、リトライのたびに走り出す。音と「登る不安」との親密な結びつきがこのプラットフォーマーの情感の核を成し、その楽曲をインディーゲームの指標にしている。
ダッシュ、ピクセル単位の跳躍、ぎりぎり越える一画面。求められるものは過酷だが、短い区画分けとアシスト機能がそれを残酷ではなく公正にする。一見単純なダッシュは、絶えず新たな奥行きを見せる。不安を巡る物語が、落下のひとつひとつに意味を与える。今なお色あせぬ、プラットフォーマーの頂だ。
ジャンプ、ダッシュ、ピクセル単位で掴む壁。動きの習得そのものが身体的な快感になる。各画面は操作のパズルとして立ちはだかり、死んでも即座に再開、苛立ちは残らない。シビアな精密さと上達の実感が、登り切った一瞬を深い達成感で満たす。
画面の一つ一つが精巧な時計のように作られ、ダッシュや壁ジャンプ、跳躍をピクセル単位・フレーム単位でつなぐ必要がある。難しさは純粋な精密さと容赦のないレベルデザインから生まれるが、即死してもすぐ再開でき理不尽さはない。歯がゆくも爽快で、現代的なリトライ型の金字塔であり続けている。