Chrono Triggerのレビュー
鳥山明の筆致が、時代を越える旅を、色彩豊かなスプライトと生命にあふれたアニメーションでまとわせる。アニメのカットシーンと、先史から未来までの多彩な背景が、魅力にあふれている。時を超えた陽気なこのグラフィックの気品は、いまも2D RPG屈指の名舞台であり続ける。
光田康典と植松伸夫による傑作たる楽曲は、驚くべき創意と情感で時代を旅する。心奪う「時の回廊」から英雄的な主旋律まで、どの曲も絶対的な名曲となった。この旋律の豊かさは、満場一致でJ-RPGの頂のひとつとして讃えられている。
終末を防ぐために時代を超えて旅をする──そんな大胆な発想の物語で、訪れる時代の一つひとつが、それぞれの悲劇を露わにする。愛すべき登場人物、複数の結末、そして三人の天才が彫り上げた筋立てが、この冒険を語りの優雅さの手本に仕立てる。色褪せぬその物語は、今もRPGの絶対的な規範であり続ける。
仲間の立ち位置を工夫して連携技を発動させる戦闘は、ひとつひとつが小さな空間パズルと化し、ATBのおかげで間延びすることがない。トランジション画面を排した設計が、途方もなく豊かな時空の旅をシームレスに繋ぎ、New Game+が何度でもやり直したくなる衝動を呼び起こす。これほど明快で心地よいメカニクスを保ち続けたJ-RPGは数少ない。
時代をめぐり、パーティを調え、途切れのない連戦をこなしていく——その流れがひときわ滑らかな冒険を織り上げる。時を跳ぶたびに世界は開き直され、サブクエストやマルチエンディングが姿を見せ、すべてを見届けたい衝動は決して衰えない。テンポよく、内容も惜しみない。RPGの頂点たる本作の魅了する力は、歳月を経てもまったく色褪せていない。
世界を救うため七つの時代を行き来する旅は、訪れる場所も時を巡る謎も天秤にかける結果も増え、本筋が自然と厚みを増す。連携技の発見、ラヴォスに挑む時期で変わる複数のエンディング、残りを解放する強くてニューゲームも加わる。鳥山・堀井・坂口が紡いだこの密度が、何度でも遊ばれる不朽の名作たらしめている。