Dirtのレビュー
第一作は車内視点そのものを主張にする。前走車が跳ね上げた泥がフロントガラスを覆い、ワイパーが二つの弧だけを拭き取り、視線はその汚れと折り合いをつけねばならない。周りでは種目ごとに舞台が変わる。赤い峡谷、雨に濡れた森、雪の峠。いずれも効果を足さぬ自然光で撮られている。
合図とともに伴奏は退く。SSに残るのは機関音と床下を叩く小石、そしてコドライバーの声だけだ。当時のレースゲームでは稀な記録映画の作法である。音楽はメニューと総括にのみ置かれる歌詞のない器楽ロックで、走行中の不在が森に取り残された二人の孤独を際立たせる。