Trusty Bell - Chopin no Yumeのレビュー
ショパンの夢のなかに思い描かれた世界──玉虫色の色彩、おとぎ話のような背景、温かな光が、稀なほどやさしい音楽の物語をつくる。洗練されたセルシェーディングと大パノラマの豊かさが、詩情にあふれている。輝かしく霊感に満ちたこのアートディレクションは、知られざる視覚の珠玉と称される。
ショパンの世界に着想を得た桜庭統の楽曲は、ロマンティックなピアノと抒情的なオーケストラを稀有な気品で織り交ぜ、死にゆく作曲家の夢に限りなく寄り添う。どの主題も、作品の夢幻的な美しさに寄り添う、たおやかで洗練された情感を呼吸する。詩的で霊感に満ちたこの旋律の豊かさが、J-RPGの頂を刻む。
物語は死にゆく者の夢の中で進む。最期まで数時間のフレデリック・ショパンが、病が魔法の力を与える世界を思い描くのだ。各章の合間には写真と楽譜を添えた実際の生涯についての解説が挟まれる。虚構が自らの出典に注釈を付け、夢の結末は並行して知る伝記に照らして読まれる。