Florenceのレビュー
グラフィックノベルのコマで語られる親密な物語。画面で組み上がる枠、パステルの平塗り、本質まで削ぎ落とされた人物。優雅で優しいこの簡潔さが、ゲームプレイと誌面の構成を対話させ、愛を一言もなく純粋な絵へと翻訳する。
ケヴィン・ペンキンのピアノは胸を打つ精緻さで、言葉なき恋の各章に寄り添う。旋律は高鳴る鼓動のように昇っては落ち、そのロマンティックな簡素さが親密な物語を、長く残る一つの感情へと変えていく。
一言も発することなく、ひとりの女性が恋に落ち、芽生えたばかりの関係の高揚と、やがて訪れる日常のすり減りを、驚くほど的確な数場面で描く。小さなインタラクションが、口論や歩み寄り、広がっていく距離を語る。ありふれた愛のこの親密な記録は、大仰な言葉を拒むからこそ深く胸を打つ。