Gyakuten Saibanのレビュー
岩元辰郎は、登場人物ひとりにつき二つか三つの姿勢しか用意しない。だがそれが何時間もの会話を支えるほど雄弁だ。机を叩く拳、突きつけられる指、崩れ落ちる体。法廷の背景はあえて固定され無地に保たれ、注意のすべてがこれらの構えと、それが引き起こす反応へ集まるようにできている。
杉森雅和の楽曲は、力関係そのものを論評する。尋問の場では風琴と張り詰めた弦、矛盾が顔を出せば上昇する音型、弁護側が主導権を取り返す数少ない瞬間にだけ許される凱歌。反転を告げるのは往々にして文章より先に音楽であり、それ自体が立派な劇の道具となっている。
陰からようやく踏み出したばかりの若き弁護士となり、土壇場で証言を覆しながら嘘を暴くすべを学んでいく。ひねりの利いた事件、滑稽な証人、そして法廷のどんでん返しが、ひとつのジャンルそのものの礎を築く。生き生きとして可笑しく、底意地よく賢いこの筆致は、遊び心ある推理の手本であり続ける。