Kingdom Hearts - Birth by Sleep - Final Mixのレビュー
ディズニーとスクウェアという、ありえない結びつき──本作は、魔法の世界と野村哲也のデザインを、驚くほど色彩豊かな調和へと溶け合わせる。どの世界も原作映画を尊重しつつ、全体の一貫性を保つ。温かく創意に満ちたこのアートディレクションが、その出会いを見事な幻想へと変える。
下村陽子の筆により、音楽が、キングダム ハーツの魔法に忠実な、稀有な情感の夢のような管弦楽の主題を繰り広げる。三人の主人公それぞれの運命が、胸を打つ旋律の色を帯びる。携帯機には豪奢なこの音の気品が、冒険を最初から最後まで魅了する。
ソラの冒険のはるか前、三人の弟子が、闇の達人の策謀によって友情を打ち砕かれていく。悲劇的な前日譚として、物語はサーガの神話のすべての礎を、思いがけぬ情感とともに据える。胸を打つ三人組と、胸を引き裂く結末が、本作をシリーズ屈指の愛され作に仕立てる。
テンポのよい戦闘を重ね、コマンドデッキを組み、フュージョンで技を育てていくと、新たなコマンドを手に入れるたびに最適化したい欲求が再燃するループが生まれる。三つのキャンペーンとミニゲーム、チャレンジが短い目標と報酬を連ねる。コマンドの周回は飽きもくるが、戦闘の滑らかさとシステムの奥行きが粘り強い吸引力を保っている。
『バース バイ スリープ』の完全版である本作は、もとより内容の詰まった冒険に、シークレットエピソード、ボス、限定内容を加える。三つの物語を攻略し、ボーナスの挑戦に挑み、100%を目指すには、多くの時間がいる。ファンのために考えられたこの内容の充実ぶりが、アクションRPG好きが育てる長寿命を差し出す。