Kingdom Hearts - Chain of Memoriesのレビュー
部屋を札から組み立てるという発想は、画面上ではあえて規格化された空間として現れる。通路も広間も同じ形を繰り返しながら、呼び出す世界に応じて装いだけを変える。密林、街、氷の宮殿。戦闘では手札が常に画面下に並び、行動の上へ札遊びの層が重なって見えることになる。
下村陽子の筆により、崇高な「Dearly Beloved」と夢のような主題が、ソラの記憶をめぐる旅に寄り添う。憂いと優美のあいだで、音楽は、肌をなぞるような情感とともに、カードによる物語の構造を抱きとめる。シリーズの証たるこの旋律の気品は、ハードの限界を超えてみせる。
物語は残酷な仕掛けの上に立つ。城を上るとは記憶を失っていくことであり、見知った顔との再会も、次第に作られたものだと分かってくる。別の人物の視点で辿る二周目は、同じ出来事にまるで違う光を当て、一周目があえて欠けたまま残した物語を補い終える。