Lagrange Pointのレビュー
コナミが描くのは朽ちてゆく宇宙居住区だ。金属の通路、草木に呑まれた温室、船渠、管制室。戦闘では機械と生体の入り混じった敵の肖像が大きく映し出され、項目画面には技術文書めいた書体が用いられて、科学空想という枠組みをいっそう確かにする。
他に類を見ない本作は、ファミコンに前代未聞の豊かさの合成音色を与えるFM拡張チップを搭載する。こうしてコナミの音楽は、標準ハードでは考えられない、深く心奪うサイエンス・フィクションの主題を繰り広げる。この音の妙技が、知られざるこのRPGを魅惑的な技術的珍品にしている。
応答の絶えた宇宙居住区へ調査隊が送り込まれ、そこに住んでいた者たちが生物実験によって変えられてしまったことを、少しずつ突き止めてゆく。物語は大きな見せ場ではなく、計測記録や日誌や証言の積み重ねとして立ち上がり、探索はあとから再構成された報告書のような手触りを帯びる。
銀河帝国を倒すべくラグランジュポイント基地を丹念に探る道のりは、練られたターン制戦闘とともに長く続く。入り組んだ通路、キャラの成長、VRC7音源による独特の楽曲が前進への意欲を支える。コナミの意欲的なSF・RPGとして、濃密で異色の佳作と語り継がれている。