Lunar - The Silver Starのレビュー
アートデザイン
音楽
シナリオ
重要な台詞には画面の四分の一を占める描き下ろしの立ち絵が添えられ、柔らかな色調と動く視線だけで会話が演出になる。マップ上の村々は密度の高いドット絵で描かれ、瓦屋根や露店、行き交う人の動きだけで港町か山あいの集落かが伝わる。
岩垂徳行の手による音楽は、当時としては稀有で貴重なボーカル曲と温かな旋律で、アレックスの旅を包む。冒険の主題から胸を打つバラードまで、どの曲もやさしさと叙事性を呼吸する。深く心に残るこの旋律の豊かさは、いまもこのJ-RPGの名作の魂であり続ける。
伝説のドラゴンマスターに並ぶことを夢見る村の若者が、冒険へと旅立ち、己に課された宿命の重みを少しずつ知っていく。CD-ROMのRPGの先駆けとして、物語は英雄の旅、友情、そして恋を、偽りのない温もりとアニメーションのムービーで結び合わせる。この礎となった叙事詩は、ジャンルそのものに刻印を残した。
夢見る少年の成長を追い、仲間を増やし、愛着の湧く人物であふれた世界を巡る——その冒険の歩みからはなかなか離れられない。訪れる町、上がるレベル、倒すボスのひとつひとつが、続きを知りたい気持ちをかき立てる。頻繁なランダムエンカウントと一本道の進行には古さもあるが、物語の勢いと語り口の優しさは驚くほど引き込む。
アレックスとともにドラゴンマスターを求めて旅立つ物語は、町、ダンジョン、そして物語の転機のひとつひとつが旅を伸ばす、大河の冒険を生む。シリーズの原点たるこの物語は、CDのムービーと音楽に彩られ、長い時間をかけて味わうものとなる。この筆致と雰囲気の豊かさが、本作を愛されるJRPGの古典たらしめている。