Mortal Kombat - Komplete Editionのレビュー
コンプリート版はシリーズの博物館として巡回できる。忍者たちに往年のドット姿を着せ直すクラシック衣装、当時のままに再現されたレトロなフェイタリティ、原画のギャラリー、そして刃の手袋を光らせるフレディ・クルーガーら異色の客人。大会である以上にポップの遺産なのだ。
歴史ある闘技場は音の記憶と共に帰還する。ザ・ピットには1992年の主題の面影が、生ける森には呻きが、砂漠には蛇行する弦が戻り、いずれも往年の動機を失わぬまま現代の音色で再編曲される。ステージを聴き分けることが古参の遊びになる。
ストーリーモードは人物ごとの章で進む。区切りごとに操作するファイターが替わり、大会は十余りの視点を継いで語られる群像劇となる。同盟も裏切りも複数の目で目撃される。対戦格闘では異例の連載小説的構成が、各人に見せ場を与え、キャラ一覧を配役表へ変えた。
追加格闘家とそのコンテンツをすべて収めたこの完全版は、コンボとゲージ、そして強烈なX線技を軸とした切れ味鋭い2D対戦を仕上げている。間合いと連係を極める手応えは、いまも指先に心地よい。参戦キャラがさらに充実し、その奥深さがまるで色褪せていないリブート作の、もっとも完成されたかたちを提供する。
格闘ゲームで最も血みどろなシリーズの原点回帰——荒々しいコンボ、作り直された残虐なフェイタリティ、開き直った暴力の演出。切れ味鋭い操作が手順の記憶に報い、派手なとどめのたびに後ろめたい満足が湧く。モードに富み気前がよく、対戦のために作られた、自らのDNAと鮮やかに再びつながったカルト対戦だ。