Mushihimesama HDのレビュー
高解像度化が報いるのは虫より背景だ。重なる樹冠、地底の川、幹の間を差す光の柱。原作の基板が解像度に沈めていた多層の視差が露わになる。用意された各種フィルタと画面枠は、現代的な鮮明さとアーケードの粒立ちのどちらかを選ばせる。同じ絵の二つの読み方だ。
第一作は続編より旋律的な色を持つ。弦と管が歌う主題は歌曲に近い構造で、脈動ではなくサビが記憶に残る。高解像度版はこれらを輪郭のはっきりした音色で再構成し、基板では轟音の下に沈んでいた内声を前面に引き出している。
高解像度へと移植されたこの縦スクロールシューティングは、常軌を逸した密度の弾幕の只中でミリ単位の回避を極める醍醐味をそのまま保っている。スコアのために道筋を最適化するには、冷静さと記憶力が要る。手強くも完璧な見やすさを備え、弾幕の愛好家に、歳月を経てなお損なわれぬ純度の悦びを差し出す。
ケイブの名作を高解像度で蘇らせた本作は、伝説的な密度の弾の群れを今に甦らせる。波の読み、危険すれすれをすり抜ける立ち回り、スコアの積み上げが、忍耐とミリ単位の精度を要求する。純粋にして妥協なく、スタジオならではの理詰めの難しさを提供し、パターン系シューティング愛好者にとって苦しくも報いの大きい一作だ。
高解像度でリマスターされたCaveのこの『虫姫さま』は、原作のモードを丁寧な映像の器で再び差し出し、短くも手強い一周を走らせる。短さは筐体のもので、複雑な虫の弾幕は寸分の狂いもない読みを求める。短い長さは、回避の習熟とスコアの追求の中で、ただの踏破をはるかに超えて延びていく。