OMORIのレビュー
ペドロ・シルヴァが手がけた音楽は、世界ごとにまるで表情を変える。色彩豊かな空間では夢見るようなローファイの温もり、現実が顔を出すと圧迫的な不協和音へ。この音楽の二面性が物語の心理的な旅に寄り添い、感情の揺れを増幅する。エンディング後も記憶に蘇るテーマだ。
パステルカラーと夢のような世界の裏に、罪悪感と喪失、そして埋めてしまいたい記憶をめぐる内なる旅が潜んでいる。物語は仄めかしで進み、不穏を漂わせたのちすべてを揺るがす。声高に語らずとも、これほど誠実に鬱を描いた作品はそうない。
優しい見た目の裏で、この旅は物語を一変させる正反対の複数ルートに分かれ、全てを掴むには二周目を要する。夢の世界は秘密や任意クエスト、隠し戦闘に満ち、真実は粘り強く掘り下げてこそ姿を現す。何重もの読み解きを誘う構造と心を揺さぶる引力が、見た目以上のはるかに長い寿命を授けている。