Otogirisouのレビュー
この会社にとって最初の音の小説であり、方法論はすでにここで定まっている。曲数は極端に少なく、たいていは二つ三つの要素まで削られ、沈黙そのものが語りの道具として使われる。何頁ものあいだ伴奏を担うのは雨と風の音だけだ。だからピアノの一音が入るだけで、読み手は文章から顔を上げてしまう。
嵐に閉ざされた人里離れた館で、若い男女は、夜が思いもよらぬ秘密と危険を露わにしていくさまを目にする。同種のサウンドノベルの嚆矢として、分岐する物語は、戦慄から恋まで、選択に応じていくつもの運命を生み出す。寡黙な先駆者として、日本の物語ゲームの一大潮流への道を切り拓いた。