Shin Momotarou Densetsuのレビュー
ハドソンが汲むのは日本の民間の図像だ。茅葺きの集落、朱塗りの橋、版画めいた平塗りの山並み、そして童話から連れてこられた角の生えた鬼たち。配色は暖色と明快な輪郭を選び、画面は役割演技の世界というより、めくっていく絵本の頁に近い姿をしている。
編成は最初から最後まで和のままだ。竹の笛、撥弦楽器、祭りの太鼓、社の鈴。村の主題は古い音階の上に組まれ、戦いの場面では拍の詰まった打楽器が加わるだけで語彙そのものは変わらない。全体の響きは管弦楽団というより、旅を続ける語り部の一座に近い。
物語は桃太郎の説話を、国全体の規模へ広げて語り直す。桃から生まれた少年が諸国を巡り、動物の仲間を集め、役所の中にまで巣食う鬼と向き合う。調子は終始人懐こいが、児童向けの伝説の翻案としては思いがけない道徳的な回り道を、この作品はためらわずに選んでみせる。