Snatcherのレビュー
小島による、ブレードランナー風のアニメ・サイバーパンク──ネオンに包まれたネオ・コウベ、緻密なドット絵の肖像、ノワールな空気が、息をのむ気品の世界をつくる。背景への丹念さと映画的な演出が、趣にあふれている。暗く洗練されたこのアートディレクションは、いまもアドベンチャーゲームの頂であり続ける。
シンセの芯までサイバーパンクなコナミ矩形波倶楽部の音楽は、音のブレードランナーにふさわしい、暗く物憂げなエレクトロでネオ・コウベを包む。張りつめた音層とジャズめいた主題が、稀有な気品の絶え間ない緊張を醸し出す。心奪うこの音の空気感は、いまもアドベンチャーゲーム屈指の印象深い一作であり続ける。
人間を模した殺人アンドロイドに侵食された近未来都市で、記憶を失った捜査官が、己の過去を賭してその偽物たちを追う。小島秀夫の手によるサイバーパンク・ノワールとして、物語は捜査、偏執、そして情感を、当時としては先見的な成熟で結び合わせる。このカルトな冒険が、物語ゲームの一領域まるごとに影響を与えた。