Thing, Theのレビュー
南極の基地は凍りついた密室劇として扱われる。波板の通路、じりじり鳴る蛍光灯、丸窓に浮く曇り、外へ出れば白一色の吹雪。対して怪物のほうは、安定した輪郭を拒み続ける。肋骨も顎も人の手足も入り混じった非対称の塊であり、二度と同じ姿にはならない。
仲間は信頼を保たせなければ役に立たなくなるが、すでに感染していない保証はどこにもない。取り乱した者は危険になり、落ち着かせた者も十分後には変異しうる。物語は疑いそのものを仕組みへ変え、誰に武器を渡すかという判断を、遊ぶ者の肩に負わせる。