Trip Worldのレビュー
ジャレコによる希少な一作は、本機とは思えぬほどのやわらかさと繊細さをもつ背景を広げてみせる。変幻自在のシェイピー、その変身、そして絹のようになめらかなアニメーションが、小さく詩的な世界を織りなす。長く知る人ぞ知る存在だったこの絵の気品は、いまやカタログの隠れた珠玉と目される。
この作品の音楽はその柔らかさで人を驚かせる。遅い速度、角の取れた旋律、緊張を避ける和声。動きのある作品に期待される神経質な曲からは遠く離れている。この抑制は、草原や洞窟を急がずに渡っていく牧歌的な世界に寄り添っており、曲と曲は拍よりも和声の色合いで見分けられる。