Virtua Racingのレビュー
従来のスプライトに代わるのは、面で塗られた多角形による描画だ。輪郭のはっきりした単座の車、幾何学的な観客席の並ぶ周回路、景色ごと傾く傾斜の付いた曲線。技術上の制約から生まれた塗り面の簡素さが、本体登場時に強い印象を残した削ぎ落とされた画面を作る。
曲は競走に寄り添いながら、決してそれを覆わない。見通しのよい旋律の線、規則正しい拍、機関の音を通すために選ばれた合成音色。周回路ごとに一曲が割り当てられ、予選や着順を告げる短い節がアーケードらしい簡潔さで区切りを付ける。
専用チップのおかげで、ポリゴンのレースは当時を驚かせ今なお見事な滑らかさで走り抜ける。コックピットから遠景まで切り替えられるカメラ視点が、好みに合わせてスピード感を自在に変える。コーナーでの繊細さと直線での先読みが報われ、タイムを縮めるたびに即座の高揚が押し寄せる。