XIII - Daitouryou o Koroshita Otokoのレビュー
ベルギーのバンド・デシネに着想を得た本作は、墨の線、ベタ塗り、コマ割り、そして画面に飛び出す擬音までも移し替える。この張り詰めたセルシェーディングが、アクションを、完璧に見やすい動く一葉の漫画へと凍りつかせる。FPSでは稀な賭けであり、この作風は時代を画し、唯一無二の風格をいまも保つ。
日本版は、音を、描かれた紙面のように扱う点で際立つ。効果音は画面に示される擬音として立ち上がり、銃声は大きく、着弾は一語で書き添えられ、耳と目が同じ衝撃を受ける。この劇画の句読点の下で、低くくぐもった弦が、忍び込みの場面のあいだ、疑心暗鬼の緊張を保つ。
「大統領を殺した男」と副題されたこの日本版は、ヴァン・アムの劇画の核心にある身元の謎を際立たせる。主人公は名として一つの数字と、消された過去だけを持つ。彼は殺し屋か、寝返った工作員か、そっくりの替え玉か。物語は次々と仮面を明かしながら進み、その二転三転と道徳の曖昧さを受け継ぐ諜報連載劇に忠実だ。