Zero Escape - Zero Time Dilemmaのレビュー
完結編は地の文を捨て、全編を動きと声のある場面に置き換える。それによって演出の性質そのものが変わる。画面の取り方は映画的になり、視点は人物のまわりを回り、これまで言葉に託されていた感情を今度は顔が担う。地下の避難施設は打ち放しの壁と斜めに差す光で描かれる。
音の調子は硬くなる。金属質の打楽器、低い息の音、そして前作までよりさらに唐突な無音。楽句の途中でも容赦なく断ち切られる。選択を迫られる場面に添えられるのは旋律ではなく節拍器の刻みで、考える時間はそのまま、耳に聞こえる秒読みへ変わる。
地下施設に閉じ込められた九人の参加者が、試練のたびに記憶を失いながら、命を懸けた決断を迫られる。知的な三部作の結末として、物語は道徳的ジレンマと時間の逆説を極限まで推し進める。容赦なく、めまいを誘うこの作品が、物語ゲーム屈指の大胆なサーガを締めくくる。
順不同に探る小場面へと断片化されたこの完結編は、時系列を組み直し、謎また謎と各秘密を解こうとさせる。残酷な決断と連鎖する真相が、絶えず先へ進みたい気持ちを再燃させる。砕けた語りと荒い語り口は揺さぶってくるが、すべてを解き明かす約束が、各セッションを断ち切りがたくする。
最後の謎を解いてデスゲームを締めくくることは、時のなかで砕けた、分岐と真相に富んだアドベンチャーを繰り広げる。一つひとつの断片を解きほぐし、すべての道を探り、筋を結びつけるには、長い時間がいる。三部作の集大成たるこの濃密さが、アドベンチャー好きが大切にする寿命を差し出す。