BioShock: The Collectionのレビュー
海に呑まれたアール・デコの驚異、ラプチャー。水中で明滅するネオン、レトロフューチャーのポスター、1950年代の朽ちた壮麗さ。息苦しくも魅惑的なこの海底都市は、ゲーム史上もっとも印象的な舞台のひとつであり続ける。
絶対的な利己主義の上に築かれた海底都市へ降りること、それは音声ログの一つひとつが堕落を語るディストピアと対峙することだ。客観主義の哲学が手触りのある恐怖と化し、名高い反転がプレイヤーの自由意志を永遠に問い続ける。
ラプチャーとコロンビアの探索は今も稀有な喚起力を保ち、三部作を支えるのは射撃よりもこの空気感だ。武器と遺伝子能力の組み合わせは今なお妙味があり、第一作の道徳的選択は依然として胸を打つ。純粋なゲームプレイで見れば銃撃戦は現代の水準に対し多少古びているが、脚本と演出が十分に補う。この三本のリマスターをSwitchで持ち歩けるのは贅沢で、この堕ちたユートピアを未踏の人には絶好の機会だ。