Famicom Tantei Club Part II - Ushiro ni Tatsu Shoujoのレビュー
この移植は機種の性能を、事件そのものの描き直しに費やしている。表情の陰影まで拾う寄りの立ち絵、人けのない校舎の廊下、夕暮れの教室、そして鮮やかな色を頑なに拒む沈んだ配色。数少ない衝撃的な一枚がよく効くのは、それ以外のすべてが徹底して平凡を保っているからだ。
音楽は数が少なく、置かれるのはもっぱら隙間だ。手がかりを読み返す間に伸びる一音、人けのない廊下に落ちるピアノの動機、そして場面が危うくなった途端の完全な無音。この配分のおかげで、数少ない旋律らしい曲がそれだけで事件になる。終幕の一曲は、不思議なほど物悲しいままだ。
ある噂に取り憑かれた高校での殺人事件を捜査する記憶喪失の探偵が、悲劇に根ざした古い事件を解きほぐしていく。恐怖の色を帯びた推理譚として、当時としては稀なる手腕で謎と情感を醸し出す。日本のアドベンチャーの古典たる本作は、今も淀んだ、人を惑わす空気をたたえている。