Shin Megami Tensei - Devil Summonerのレビュー
視覚の素材となるのは一九三〇年代の日本である。路面電車、瓦斯燈、ダブルの上着、暗い木の内装が記録映画めいた背景を作り、そこへ現れる魔たちは決してその風景に溶け込まない。等角の視点は街路を距離のうちに置き、探偵が引いた市街図のように見せる。
伴奏は二つの記憶を混ぜ合わせる。一方には当時の舞踏場の即興音楽、弱音器を差した喇叭と裏拍の鍵盤。他方には鐘、銅鑼、押し殺された声が置かれ、人ならぬものの気配を告げる。両者の切り替わりだけで、捜査が人の領域を離れたと分かる。
葛葉が営むのは、まったく普通ではない世界のなかの、まったく普通の稼業である。人探しや強請りの依頼が持ち込まれ、その平凡な糸を手繰るうちに秘教めいたものへ突き当たる。三面記事から入るこの構えが、超自然に類のない冷たさを与え、それを調書の一枚として扱わせる。
現代の街で悪魔がらみの事件を解き明かしていくことは、探索、交渉、合体に富んだ濃密な都市型RPGを繰り広げる。捜査を進め、悪魔を仲間にし、図鑑を埋める時間は、長く費やされる。アトラスならではのこの奥行きが、JRPG好きが味わう寿命を差し出す。