Steins;Gateのレビュー
家庭用版は挿絵画家の明快な線を大画面へ持ち込む。広いベタ、鋭い輪郭、そして実在の看板が見て取れる加工された秋葉原の写真背景。立ち絵は動きではなく差分で表情を変え、挿絵小説から受け継いだこの簡素さが、注意を顔へ集中させる。
サウンドは不在で語る。研究所の長い場面はブラウン管の唸りとキーボードの打鍵音だけで進み、音楽が入ること自体が物語上の出来事になる。鳴り始めるときも、一本のピアノの線か反復する電子の動機であることが多く、会話が転じるまでそのまま保たれる。
自分が追われていると思い込む自称マッドサイエンティストの青年が、偶然、過去へメッセージを送る術を見つけ出す。笑劇として始まったものは、愛する者たちを救うため、かけがえのないものを犠牲にせねばならぬとき、胸を引き裂く悲劇へと転じる。ビジュアルノベルの頂たる本作の時間の筋立ては、魅了すると同時に深く心を揺さぶる。