XIIIのレビュー
ベルギーのバンド・デシネに着想を得た本作は、墨の線、ベタ塗り、コマ割り、そして画面に飛び出す擬音までも移し替える。この張り詰めたセルシェーディングが、アクションを、完璧に見やすい動く一葉の漫画へと凍りつかせる。FPSでは稀な賭けであり、この作風は時代を画し、唯一無二の風格をいまも保つ。
陰謀の劇画を翻案したこの冒険は、七十年代の諜報映画のジャズファンクの装いをまとう。くぐもった金管、ワウのギター、まるい低音、しなやかな太鼓が、政治謀略劇の冷たい優雅さを据える。動作は本来ロックしか呼ばぬところで、だ。この古風で洗練された色合いが、遊びを、単なる射撃ではなく陰謀の映画に根づかせる。
一人の男が、記憶を失って浜辺で目を覚ます。手がかりは謎めいた入れ墨ただ一つ、そしてただちに、合衆国大統領を暗殺したと告発される。追われながら、彼は自分が本当は誰なのかを知るため、巨大な国家の陰謀の糸をたぐる。劇画に忠実に、諜報の物語は裏切りと偽りの身元を連ね、明かされるたびに主人公の確信を少しずつ揺るがす。