Breath of Fireのレビュー
初めての役割演技物にあたって、カプコンは自社の活劇物で培った手つきをそのまま持ち込んだ。輪郭の立つドット絵、描き込まれた戦闘の動き、画面いっぱいに広がる術の演出。舞台は木造の村、城壁の街、砂漠と移り変わり、魚人、鳥の女、虎の戦士といった人ならざる仲間は、いずれもひと目で分かる輪郭を与えられている。
音楽が保つのは、温かくどこか素朴な調子だ。村には笛と弦、城では抑えた金管、戦闘曲は短く、切り上げも小気味よい。竜への変身に添えられた曲だけは広がりの点で際立つ。それでも全体は、同時期の他社が競った交響的な大作より、ずっと内輪の手触りを保っている。
語られるのは二つの竜の一族の話で、その片方はほとんど滅ぼされている。物語は生き残りのひとりが、敵方へ渡った姉を探しに出るところから動き出す。断ち切られた血縁という主題が冒険の全体を貫き、敵と名指された側にもまた生き延びるための理屈があることが少しずつ明かされる。作品はそれを単純化しようとしない。
失われた母を探して対立する二つの王国を巡る冒険は、探索すべき街と地下迷宮、続くターン制の戦闘で密度が高い。多彩な能力を持つ仲間たちとリュウの竜変身が試行錯誤と地道な育成を誘う。カプコンの記念すべき第一作として、じっくり広がる旅ゆえに今も歯ごたえあるRPGとして名を残す。