Dragon Quest VI - Maboroshi no Daichiのレビュー
鳥山明の真似のできない筆致が、どの主人公にも、どの魔物にも、ひと目でそれと分かる陽気な丸みをまとわせる。色彩豊かな村と表情ゆたかな生き物たちが、温かく澄んだ世界を織りなす。時を超えた親しみやすいこの絵柄は、いまもシリーズの視覚的な魂であり続ける。
夢と現実のあいだで、すぎやまこういちの楽曲は、荘厳なフィールドの主題から親密な旋律まで、絶え間ない気高さの雄大で夢のような主題を繰り広げる。音楽は、時を超えた古典的な気品で、物語の二面性を抱きとめる。この交響的な豊かさが、サーガの16ビット時代を見事に締めくくる。
現実の世界と夢の世界とのあいだで引き裂かれた記憶喪失の英雄が、自らの正体の断片を繋ぎ合わせようとする。先行作より内省的なこの物語は、二つの世界の二元性と自分探しを、確かな野心をもって弄ぶ。この夢幻のごとき憂いが、本作をドラゴンクエスト屈指の異色作にしている。
二つの世界を行き来し、職業を解放しては各キャラを特化させていく――そこに驚くほど奥深い成長のループが組み上がる。新たな職を極め、秘密を掘り当て、物語を前へ進めるたびに、続ける理由が必ず生まれる。熟練度稼ぎは負担になるが、このカスタマイズの探求は長く飽きさせない引力を保ち続ける。
夢と現実、重なり合う二つの世界を行き来する構造が、踏破すべき土地をほぼ倍にし、各地が互いに呼応する。練り込まれた職業システムは、呪文や特技を得るため数十の職をマスターするよう促し、膨大な育成の道を開く。並行する世界とやり込みが、隅々まで遊べる屈指の重厚な一本にしている。