Motherのレビュー
鈴木慶一と田中宏和の手による『MOTHER』の音楽は、ファミコンでは前例のない自由さで、ポップ、子どもらしい旋律、偽りのない情感を織り交ぜる。有名な「Pollyanna」から、胸を打つ「Eight Melodies」まで、どの調べも深く人間的な物語に奉仕する。この音の独自性が、カルトなシリーズの礎を築いた。
剣と魔法の世界を捨て、現代のアメリカを舞台に選んだ最初のRPG──ひとりの少年が、彼方から訪れた侵略に立ち向かう。ポップな冒険の裏には思いがけぬやさしさが滲み、剣よりも旋律と心が物を言う。ビデオゲームにおける情感の先駆けとして、その素朴で胸を打つ物語は一つの道を切り拓いた。