Rainのレビュー
降りしきる雨のなかの夜の街、雨粒に浮かび上がる見えないシルエット──本作は、物憂げな繊細さの映像の詩をつくる。明暗とコンセプトの優美さが、稀なる瞑想的な美しさに達する。こもったように繊細なこのアートディレクションは、夢のような小さな宝石と称される。
稀有な繊細さをたたえた音楽が、物憂げなピアノと霊妙な弦を織り交ぜ、心揺さぶる詩情の夜の物語を彩る。雨のなかの一歩一歩が、抑えた儚い情感に響く。簡素で心奪うこの音の空気感が、この夢のような冒険の唯一無二の美しさのすべてを成す。
物語は、透明についての言葉なき寓話だ。少年は窓から透き通った少女を見かけ、土砂降りへ出て、自らもまた消えることを知る。雨が輪郭を描くときだけ見える。一言もなく、彼はしぶきでしか気配の分からぬ生き物のうごめく夜の街を、彼女に付いてゆく。これは、雨の降るあいだだけ存在し、乾けば消え去る二つの存在の、はかない絆をめぐる物悲しい寓話だ。