Famicom Bunko - Hajimari no Moriのレビュー
本体の寿命の終わりに配信で届けられたこの田舎の夏の物語は、すべてを一枚絵に賭けている。木造の家、田んぼ、森の小道、虫、日暮れ間際の空。色はやわらかく、どこか褪せていて、旅先で撮った写真のようだ。人物もまた、誇張をいっさい与えられずに描かれている。
遠い親戚のもとで夏を過ごすことになった少年が、どこか噛み合わない村に出会う。それでも作品が完全に怪異へ踏み込むことはない。物語は観察と会話と沈黙で進み、本当の主題は謎そのものより、子どもが大人をどう見るようになるかという過程のほうにある。