Icoのレビュー
けぶる光、白に染まる無人の城、儚いシルエット──切り詰められた映像が、稀なほど繊細な詩情に達する。背景のミニマリズムと光のやわらかさが、感情にすべての場所を譲る。作家性ある作品の礎となったこの瞑想的な美しさは、いまも並ぶものがない。
稀有な抑制をたたえた音楽は、物語の孤独とやさしさを際立たせるべく、まばらな彩りでのみ立ち現れ、ほとんど沈黙と化す。エンディングを飾る心揺さぶる「You Were There」が、武装解除されるような素朴さで情感を掬い上げる。大胆で詩的なこの音のミニマリズムが、このカルト作の魔法のすべてを成す。
忘れ去られた城に閉じ込められた角を持つ少年が、か弱い少女の手を引いて自由へと導く。ほとんど言葉のないまま、物語は手をつなぐというただ一つの仕草を通して、胸を打つほどやさしい絆を生み出す。この詩的で寡黙な語りの簡潔さは、ゲームが別のかたちで心を動かせることを証明した。