Shin Megami Tensei III - Nocturneのレビュー
人類が消えた終末後の東京、金子一馬による毒々しいデザインの悪魔たち、簡素な色調──世界は凍てつくような奇妙さを呼吸する。抑えたセルシェーディングと息詰まる構図が、独特の居心地の悪さを根づかせる。そぎ落とされ不穏なこの視覚演出が、メガテンの作風の頂点を刻む。
何百もの順番制の戦いを通じ、一つの主題が記憶に焼きつく。通常戦闘の曲、張り詰めたギターのリフと反復する律動は、飽きずに延々と回るよう刻まれている。目黒は短く癖になる旋律の技を見せ、プレスターンの仕組みに合わせて調える。千回聴いたこの一曲を、遊び手は作品を思い返すとき口ずさむ。
主人公は一言も語らない。飲み込んだ寄生体マガタマによって半ば悪魔となり、超人の力と、かつての生から遠ざける渇きを得る。無言のまま、遊び手が選択で埋める白紙のようにヴォルテックスを渡り、かつての少年と、なりゆく怪物の間で揺れる。台詞で決して断たれぬこの不確かな人間性が、物語の不穏さのすべてだ。
半ば人、半ば悪魔として荒廃した東京をさまよう本作は、悪魔を仲間にし、合体させることで絶えず編成を組み替える、暗く重いJRPGを描く。迷宮のごときダンジョン、苛烈な難度、複数の結末へ分かれる筋立てが、冒険を長い時間へと延ばす。この手強い濃密さが、本作をカルトJRPGの柱たらしめている。