Shin Megami Tensei if...のレビュー
外伝は舞台の規模を縮め、そのことで得をしている。巨大都市ではなく、ひとつの高校がまるごと舞台だ。廊下も中庭も体育館も屋上も、同じ場所と同じ画角のまま魔界の版に描き直され、そこへ肉と骨が加わる。学校という日常の乗っ取りが生む不安は、本編の廃墟都市が届かなかった領域にある。
より狭い舞台で、増子司の音楽は、シリーズの暗い電子ロックの個性を保ちつつ、呪われた高校という密室に合わせて作り変える。尖って息詰まる主題が、絶え間ない緊張を保つ。この過激な音の空気が、真・女神転生の唯一無二の精神を忠実に受け継ぐ。
いじめを受けていた生徒が、自分の通う高校ごと魔界へ引きずり込む。校舎は教室ひとつ分の尺度で行われる復讐の舞台になる。物語はシリーズが得意とする宇宙規模の対決を捨て、学校での加害と被害の話へ置き換えた。そのぶん道徳的な選択は、はるかに身近で、はるかに居心地の悪いものになる。
学校をダンジョンに変えても長さは衰えず、各階を踏破しガーディアンを使いこなし仲魔を地道に育てる。二つの異なるルートが二周目を促し、独特の学園の空気が探索を引き延ばす。この分岐構造と無限の合体が周回価値を支える。