Shin Megami Tensei - Nocturneのレビュー
人類が消えた終末後の東京、金子一馬による毒々しいデザインの悪魔たち、簡素な色調──世界は凍てつくような奇妙さを呼吸する。抑えたセルシェーディングと息詰まる構図が、独特の居心地の悪さを根づかせる。そぎ落とされ不穏なこの視覚演出が、メガテンの作風の頂点を刻む。
目黒将司の楽譜は、シリーズの転回点を刻む。神経質なエレキギター、電子のビート、合成音の層が絡み合い、悪魔に明け渡された東京をまとわせる。都会的でありながら不穏な響きだ。当時のロールプレイングではなお稀だったロックと電子の融合が、作曲家の名を高める音の署名を打ち立てる。
すべては世界の終わりから始まる。「受胎」と呼ばれる儀式が東京を虚空の球、ヴォルテックスへと縮め、生き残るのは悪魔と一握りの選ばれし者だけとなる。操る高校生はそこで半ば悪魔の身に転生し、人でも怪物でもない者となる。この即座の反転が、来たる世界の形を選ばねばならぬ、終末後の物語の色を定める。
半ば人、半ば悪魔として荒廃した東京をさまよう本作は、悪魔を仲間にし、合体させることで絶えず編成を組み替える、暗く重いJRPGを描く。迷宮のごときダンジョン、苛烈な難度、複数の結末へ分かれる筋立てが、冒険を長い時間へと延ばす。この手強い濃密さが、本作をカルトJRPGの柱たらしめている。